複数の RF デバイス間で位相同期を行う事は可能でしょうか



ハードウェア: Compact FieldPoint>>Controllers

問題:
複数の RF デバイスを使用し、位相同期測定を行いたいと考えています。
NI PXI-5660 、 NI PXI-5661 、 NI PXIe-5663 、 NI PXI-5670 、 NI PXI-5671 、 NI PXIe-5672 、 NI PXIe-5673 等のデバイスを複数使用し、どのように位相同期を行えば良いでしょうか。

解決策:
5660 、 5661 、 5670 、 5671 、 5672 等のデバイスは、位相同期を行う事ができません。これらのデバイスでは、デバイス上の同じ 10MHz のリファレンスクロックを参照し、開始トリガを同時に参照する事は可能です。しかしこの方法では、複数デバイス間において、ただ単に A/D 変換時の「サンプリングタイミング」の同期を行っているだけです。ローカルオシレータ( LO )の相対位相は確定的なものではなく、1つのデバイスの動作と動作の間、あるいはデバイス間においても、相対位相は再現性のあるものではありません。さらに、それぞれの LO は、個々のデバイスが持つ位相ドリフトやノイズの影響を受けやすいものでもあります。また、 NI-5600 のダウンコンバータ、 NI-5610 のアップコンバータは、アップ/ダウンコンバートプロセスにおいて、3つの段階があり、それぞれに LO を持っています。それらの LO は、デバイス間で共有する事ができません。

図1 は、中間周波数 (IF) を RF 信号へ合成する際に、 LO がどのように使用されているかを表しています。
NI-5600 と NI-5610 は信号変換の際にこのようなコンバータを 3 つ使用しています。


PXIe-5673 と PXIe-5663  は、アーキテクチャとして位相同期出力、あるいは位相同期解析をサポートしています。しかし、出力と解析間の同期はサポートされていません。PXIe-5673 と PXIe-5663 は LO 信号を外部から供給する事が可能です。通常それらは、 PXI-5652 が提供しています。LO が外部にあるため、信号をいくつかの出力器と解析器に分割することが可能です。さらには、 PXIe-5601 のダウンコンバータと、PXIe-5611 の IQ モジュレータは、デイジーチェイン接続により LO 信号を複数デバイスで使用する事ができます。

図2 は、PXI シャーシに入っている2台の PXIe-5673のデイジーチェイン接続の方法を示しています。

重要な注意事項として、デイジーチェイン接続を使用する場合、発生器間、解析器間で行う事が一般的です。理由は、LO 信号を 2 分割する場合、信号のパワー自体は半分になり、この半分のパワーをそれぞれのコンバータに使用して、発生器や解析器を動作させることになります。

5673 や 5663 のセットアップにつきましては、RF ベクトル信号アナライザ用ヘルプや、RF 信号ジェネレータのヘルプをご参照ください。

メモ: PXIe-5673 と PXIe-5663 は、基本設計理念の違いから、位相同期を行う事ができません。PXIe-5673 は、直接的に RF アップコンバートを行うシステムであり、 PXIe-5663 は、 IF 周波数専用のスーパーヘテロダインダウンコンバージョンシステムになります。この違いは、波形発生と波形解析において、2つの異なる LO 周波数を使用している事を意味します。



関連リンク:
Developer Zone Tutorial: RF and Communication Fundamentals
Developer Zone Tutorial: Introduction to RF & Wireless Communication Systems
Developer Zone Tutorial: Amplitude Modulation
Products and Services: NI PXIe-5673
Products and Services: NI PXIe-5663

添付:

PXIConfiguration.png
rfmixer.gif






報告日時: 04/12/2010
最終更新日: 04/12/2010
ドキュメントID: 58B0DSHI