10°C以下でPXIe-5122を使用する際の推奨事項



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問題:
PXIe-5122の仕様書では0~10°Cの周囲温度での操作に対して最大データ転送レートを得るため特別な配慮が必要であると記載しています。何を配慮すれば良いですか?


解決策:
PXI Expressトポロジ

PXI Expressは、通信にPCI Expressの信号およびプロトコルを使用します。 PCI Expressシステムトポロジには、いくつかの異なるコンポーネントタイプが含まれています。
  • ルートコンプレックス:
    ルートコンプレックスはPCI Express階層の根幹です。CPUおよびシステムメモリからPCI Express I/Oに接続します。

  • スイッチ:
    スイッチは複数のPCI Expressデバイス、他のスイッチおよびルートコンプレックス間でトランザクションを転送します。PCI Express通信は常にポイント間で行われます。デバイスは、単一スイッチと通信します。その後スイッチは、他のスイッチ、他のPCI Expressデバイス、またはルートコンプレックスにデータを渡します。

  • エンドポイント:
    エンドポイントはPXI ExpressモジュールなどのI/O機能を実行するデバイスのことです。
以下の図は、PCI Expressシステムの例を示します。 

PCI Express システム構成 
図1. PCI Expressシステムの構成例


リンク、レーン、トレーニング
  • リンク:
    リンクは2つのPCI Express要素間における通信接続のことです。たとえば、スイッチおよびエンドポイントはリンクを形成することができます。リンクは、複数のレーンから構成されています。

  • レーン:
    レーンは2つのPCI Express要素間における単一の送受信ペア接続のことです。2つのデバイスは、レーン上で同時に双方向のデータ通信を行うことができます。

以下の図は、4つのレーンから構成される2つのデバイス間のリンクを示します。

レーンおよびリンク
図2. レーンおよびリンク

リンクのレーン数は、xn(nは数値)で示されます。すべてのPCI Expressデバイスは、x1リンクをサポートする必要があります。PCI Expressデバイスには、x2、X4、X8、x12、X16、およびX32のリンクをサポートするものもあります。 レーン上のデータ転送は、2.5 Gb/sまたは5.0 Gb/sです。

初期化中に2つのデバイスではリンクのレーン幅および信号速度を合わせる必要があります。このプロセスはリンクトレーニングと呼ばれます。すべてのデバイスは、x1レーン幅および2.5 Gb/s信号に対応する必要があります。


パフォーマンス

実際のスルーレートはシステムにある他のデバイスと他のコンポーネント間のプロトコルオーバーヘッド、システムトポロジ、データ転送によって下回ります。

I/Oデバイスおよびホストメモリ間の転送は通常、複数のPCIeリンクを通過します。データ転送の性能は、各リンクによって異なります。たとえば、PXIシャーシがx1のMXI Expressリンクで制御される場合、システムメモリへのスループットはx1リンクによって制限される場合があります。

その他の例として、NI PXIe-1065シャーシをあげることができます。このシャーシでは、スロット7および8はx4のPXI Expressデバイスをサポートします。スロット7および8はそれぞれPXIコントローラに対して、直接x4 PCIeパスがあります。スロット9~14もx4 PXI Expressデバイスをサポートしています。ただし、これらすべてのスロットおけるデータ転送(スロット15~18のPXI転送も同様)は、PXIコントローラへ転送する前にバックプレーンにあるPCI Expressスイッチを通過します。そのためスロット9~18においてすべてのデバイスは、バックプレーンスイッチおよびPXIコントローラ間のリンクで帯域幅を共有します。

 
PXIe-5122における配慮事項

NIPXIe-5122デジタイザは、x4、x2、またはx1リンクをサポートします。また、PXIe-5122は常に2.5 Gb/s信号レートを使用します。PXIe-5122はx4(もしくはx8以上)PCIeスイッチを使用したPXIeスロットに取り付けられた際に、PXIe-5122およびスイッチはx4リンク形式にトレーニングします。(現在すべてのNI PXI Expressシャーシは全PXI Expressスロットでx4スイッチを使用しています)。もしPXIe-5122がx2もしくはx1スイッチを使用するシステムに取り付けられている場合、PXIe-5122はx2もしくはx1リンク形式にトレーニングします。

PXIe-5122がx4レーン幅にトレーニングしている場合、理論上リンクの最大スループットは1,000 Mバイト/秒となります(PXI-5122は、2チャンネル、100 MS/秒、サンプルあたり2バイトの場合400 Mバイト/秒でデータを生成することに注意してください)。

もしPXIe-5122がx2もしくはx1としてトレーニングしている場合、それでもすべての計測仕様に変更なく適切に機能します。ただし、リンクの理論上の最大スループットは500 MB/s(x2の場合)または250 MB/s(x1の場合)に減少します。実際のホストメモリへの転送レートは、より遅くなりさまざまな他のシステム状況により異なります。PXIe-5122は、2チャンネルで100 MS/sの指定された最大レートでオンボードメモリにデータを集録および格納を継続して行うことが可能です。


PXIe-5122を低温で起動する

周囲温度が10℃未満の場合にPXIシステムの電源が切断されると、PXIe-5122はトレーニング中にビットエラーを検出する場合があり、リンク幅がx2からx1に戻る場合があります。この現象が発生しても、2チャンネルにおいて100 MS/sの指定された最大集録レートで継続してオンボードメモリにデータを集録することが可能です。この場合x4リンク幅に再トレーニングするには、15分間(デバイスを有効化するためのアナログ仕様にあるフォームアップ時間)システムに電源を投入し、それから再起動します。


レーン幅を検出する

GetPXIExpressLinkWidth.exeおよびGetPXIExpressLinkWidth.vi(下記に添付)は、PXIe-5122によって使用するレーン幅を表示するユーティリティです。これらのユーティリティを実行する前に、NI-SCOPEバージョン3.3.1以降がインストールされていることを確認してください。

メモ:これは4リンク幅をサポートしているシステムのみで実行できます。 たとえば、NI PXIe8103コントローラはx1コントローラであり、デバイスは常にこのコントローラによってx1にトレーニングされます。x1 MXI Expressの場合も同様です。


関連リンク:
Deverloper Zone チュートリアル: PCI Express - PCI Express 規格の概要
Deverloper Zone チュートリアル: PXI Express仕様チュートリアル
Deverloper Zone チュートリアル: PCI Express and PXI Express Bandwidth Demos


添付:
GetPXIExpressLinkWidth.vi
GetPXIExpressLinkWidth.exe
GetPXIExpressLinkWidth_FGEN.vi
GetPXIExpressLinkWidth_FGEN.exe




報告日時: 06/15/2007
最終更新日: 06/11/2012
ドキュメントID: 4AEB2ML1