オンボードクロックの「安定性」とはなんですか



ハードウェア: Counter/Timers (TIO)

問題:

オンボードクロックの「安定性」とは何を表現しているのでしょうか

解決策:

DAQ デバイスのマニュアル等に記載のある、ベースクロックの確度についての仕様、すなわち「ベースクロック確度」は設定したクロックの周波数と実際のクロック動作周波数の偏差を表しています。また M シリーズ等のマニュアルには明確な値は記載されていませんが、一定値に設定されているクロックの周波数が時間経過とともにどれだけずれるかを表す「安定性」という概念もあります。

「ベースクロック確度」を元に実際の動作周波数の最大、最小値を計算することができます。例えば「ベースクロック確度」が 100ppm すなわち、+/-0.01% のクロックを、 20M[Hz] の周波数で動作させた時、実際の動作周波数の最大、最小値は以下の様に計算されます。

最大周波数 = 20,000,000 + (20,000,000 * 0.0001) = 20,002,000 [Hz]
最小周波数 = 20,000,000 - (20,000,000 * 0.0001) = 19,998,000 [Hz]

クロックを動作させる際に、実際のクロック動作周波数にずれが生じてもこの最小値と最大値の間の値をとることが保障されます。例えば 20M[Hz] のクロックを使用して 2 つのパルス信号間の時間間隔を計測した場合は、計測値が +/-0.01% の範囲で正確であることがわかります。

しかしながら、もし上記と全く同じ時間間隔の 2 つのパルス信号の間隔を 1 年後に計測した場合、 1 年前と 1 年後の計測値を比較することはできるでしょうか。ここで、ある一定時間の経過前後で計測値の比較を行えるかを判断するのに必要なのが、クロックの「安定性」になります。クロックの「安定性」は通常0.0001[%/年] の様に一定時間に対して何パーセント変化するかといった様に表示されます。あるいは、上記表記法に対応して100[ppm/年]というように、% の代わりに ppm (parts per million) で表現されることもあります。

ゆえに異なる 100 の時刻において 2 つのパルス信号の時間間隔を集録してみて、その 100 の計測値が最小値と最大値の間で頻繁に遷移してしまうようであれば、時間経過における安定性があまり高くないことが分かります。反対にほとんど遷移がなく、時間経過とともに計測値がほとんど変化しない場合は、高い安定性があると判断できます。この様に安定性が高い場合、時間経過に関わらず 2 つの計測値を比較は信頼性が高いということになります。

関連リンク:

技術データベース 2MGEUR2H : 周波数誤差および周波数測定確度/周波数生成確度

添付:





報告日時: 11/06/1998
最終更新日: 04/13/2010
ドキュメントID: 1F5DD5KD