ホームスイッチを探す際に垂直ステージが適切に停止せず、数カウントほど落下してしまうのはなぜでしょう



使用ソフトウェア:
使用ソフトウェア・バージョン: 7.0
使用ソフトウェア・バージョンに特化: N/A
二次のソフトウェア: N/A
ハードウェア: Motion Control

問題:
サーボモーターを使用しており、垂直ステージ上でホームリミットスイッチを探すLabVIEWプログラムを作成しました。ホームを探している間、ステージは適切に動きます。まずはじめにフォワード方向へ移動し、フォワードリミットに到達するとホームリミットを検出するまでリバース方向へ動作します。この場合滑らかに停止せず、停止前に数センチほどステージが落下することがあります。この動作はステージの破損につながりますので、原因と解決策を教えてください。



解決策:

この予期せぬ動作には、主に3つの要因があります。保持トルク、Following Error、Halt関数がFind Homeの結果として実行されることにあります。

 

保持トルクはモーターが生み出す力で、動くべきでないときに、静止させ続けるための力です。システムの保持トルクはモーター動作を停止させておくためにいくつかの外的要因に耐えうる必要があります。例えば垂直またはスロープステージをコントロールする場合、ステージが動かないよう、モーターは重力に耐えなければなりません。ステージの慣性とトラックの摩擦が、この動作の手助けをしています。


保持トルクを持つために、モーションコントローラーは軸に対するFollowing Errorを読み取ります。Following Errorはステージの現在位置と希望位置との差に対応します。モーターに「現時点では移動しない」というイベントが送られる場合、軸が動いていないことを保証するため、常にFollowing Errorの値が読み取られます。Following Errorの増加はステージが動くべきでない場合でも動いてしまっていることを意味します。これを防ぐために、さらに保持トルクが作用します。作用している保持トルクの大きさは軸から読み取られるFollowing Errorと比例関係にあります。


サーボモーターの場合、モーターに作用する外力に逆らうための保持トルクは、Following Errorに対して比例定数Kpで比例しています。Kpは軸のControl Loop Settingsで指定できます。この関係は下記の式で表すことができます。


Kp * Following error = 保持トルク

保持トルク / Kp = Following error


リミットまたはホームスイッチが検出されると、Haltコマンドがコントローラーに送られます。これにより検出されたスイッチタイプに依存して、現在の方向でモーターを停止する、もしくは完全に動作をストップするといった動作を行います。Haltコマンドが実行されると、希望位置が現在位置と設定されます。そのため、Following Errorはゼロになります。保持トルクはFollowing Errorに対して比例するため、この場合保持トルクもゼロという結果になります。これが突然ステージが落下する理由です。ステージが新規の希望位置よりもはるかに遠くまで動く場合、モーターを動かそうとする軸による力が完全に抑え込まれるまで、Following Errorと保持トルクは増加します。


このような理由から、リミットまたはホームスイッチに到達した後にわずかにステージが落ちてしまうということがあります。ステージがダメージを受けるのを避けるため、この落下動作に対して制限をかけることができます。

一つの方法としては、Axis Control Loopに対してKp値を増やすというものです。これによりFollowing Errorを減らし、ステージの落下距離を短くすることができます。また別の方法として、ステージが動く際のトラックの摩擦を増やす、という方法もあります。摩擦を増やすことで、落下距離を制限するのに必要な保持トルクを軽減させることができます。



関連リンク:
Motion Control Support
NI-Motion User Manual
モーションコントロールの基本
Understanding Servo Tune


添付:





報告日時: 09/14/2005
最終更新日: 06/26/2014
ドキュメントID: 3PDCK3B1