DIO-32HS (PXI-6533) のケーブル終端処理方法



ハードウェア: Digital I/O (DIO)>>High-Speed>>AT-DIO-32HS

問題: DIO-32HS / PXI-6533ボードにSH-68-68D1ケーブルを接続する際,推奨される終端処理方法(ターミネーション)を教えて下さい。ケーブル終端に表れるオーバーシュートや反射の対策を行うためです。また,DIO-32HS / PXI-6533出力のスルーレートはどの程度でしょうか。


解決策: 効果的にターミネーションを行うためには,SH68-68-D1ケーブルの様な均一な特性を持つ伝送路が必要となります。SH68-68-D1はツイストペア線(より対線)を使用しており,各々の信号線とグラウンド線がペアになっています。この構造により,均一な伝送路となります。

DIO-32HS (PXI-6533) の出力スルーレートや出力インピーダンス,またSH68-68-D1の特性インピーダンスの仕様は正式に公開しておりません。概要は以下の通りです。
- 入出力バッファ: DIO-32HS (6533) はスルーレート調整機能を内蔵した,24mA出力可能なドライバを用いています。TTLレベル動作のCMOSデバイスです。出力インピーダンスは20Ω以下の低インピーダンスです。入力インピーダンスは基板上の抵抗器により決定され,制御ラインで2.2kΩ以上,データラインが100kΩ以上です。
- スルーレート: 終端での波形の乱れを防ぐため,出力回路により自動的に調整されます。負荷により立ち上がり/立ち下がり時間が異なりますが,2.75nsから4.5ns程度です。
弊社が推奨するターミネーションの方法は,ファースト・ショットキーダイオード (SBD) を用いてオーバーシュートをクランプする方法です。オーバーシュートを電源側に,アンダーシュートをグラウンド側に逃がします。詳細については,ハードウェアのマニュアルをご参照ください。(NI 653X User ManualのD-8ページに図があります)
ボードにはクランプ用のダイオードが内蔵されているため,入力で使用する場合はターミネーションは不要です。このようにダイオードを用いるため,入出力インピーダンスやケーブルの特性インピーダンスに留意する必要はありません。

注意:
純抵抗によりプルアップ/プルダウン抵抗を用いたターミネーションは,出力電流の増加を招くために推奨しておりません。
例として終端抵抗値が90Ωであった場合,信号の反射抑制には効果がありますが,2.4Vにして27mAもの電流が流れます。DIO-32HS (6533) の出力電流は最大24mAです。
伝送路に直列に抵抗器を入れる方法についても,ケーブルとボードの間に抵抗値を持たせることになるため,推奨いたしません。

また,ターミネーションが必要になる伝送周波数も,特に規定することはできません。仮に極端に速度が遅い場合や1点のみの出力であったとしても,ターミネーションが適切でなければ,5Vを遙かに超えるオーバーシュートが発生する場合があります。

ケーブルが長くなるほどターミネーションが重要になります。SH68-68-D1には0.4mの物も用意されておりますので,ターミネーションが難しく反射やオーバーシュートを軽減したい場合には採用をご検討ください。

関連リンク: 653X User Manual SH68-68-D1シールドケーブル

添付:





報告日時: 11/05/1998
最終更新日: 06/28/2005
ドキュメントID: 1F4CAV0W